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腱板断裂

症状

腱板断裂は、肩を動かすための重要な筋肉群である「腱板」の腱が切れてしまう疾患です。主な症状は、肩の痛みと筋力の低下です。特に、腕を上げたり、下ろしたりする動作の途中で痛みや引っかかりを感じることが多く、夜間に痛みが強くなって目が覚めてしまう「夜間痛」も特徴的な症状の一つです。 断裂が大きくなると、腕を自分の力で持ち上げることが困難になります。ただし、反対の手で支えれば腕は上がるため、関節自体が固まってしまう五十肩(肩関節周囲炎)とは異なります。また、腕を動かした際に「ゴリゴリ」「ジャリジャリ」といった異音(轢音)を感じることもあります。 転倒などの外傷によって急に断裂する「急性断裂」と、加齢や使いすぎによって腱がすり減って切れる「慢性断裂」があり、後者が大半を占めます。慢性断裂の場合、最初は軽い痛みでも、放置すると断裂が徐々に拡大し、症状が悪化していく可能性があるため注意が必要です。

原因

肩の腱板は、棘上筋(きょくじょうきん)、棘下筋(きょくかきん)、小円筋(しょうえんきん)、肩甲下筋(けんこうかきん)という4つの筋肉の腱が集まってできており、肩関節を安定させ、腕を様々な方向に動かす重要な役割を担っています。 腱板断裂の最も一般的な原因は、加齢に伴う腱の変性(老化)です。年齢とともに腱の柔軟性が失われ、もろくなることで、日常生活のささいな動作でも腱がすり減り、最終的に断裂に至ります。特に、腕を上げる動作で腱板が肩峰(けんぽう)という骨とこすれやすい構造になっているため、長年の負担が蓄積することで断裂が起こりやすくなります。 その他、転倒して手をついたり、重いものを持ち上げたりといった一度の大きな外力による「外傷性断裂」や、野球の投球やテニス、バドミントンなど、腕を繰り返し使うスポーツによる「オーバーユース」も原因となります。

診断

腱板断裂が疑われる場合、まず問診で症状の経過や受傷のきっかけなどを詳しく伺います。その後、身体診察で、腕を上げる筋力や、特定の方向に動かした際の痛みの有無などを評価するテスト(ドロップアームテスト、インピンジメントサインなど)を行い、断裂の可能性を判断します。 画像診断において、当院ではエコー(超音波)検査を極めて重視しています。エコー検査は、レントゲンでは写らない腱や筋肉といった軟部組織を、放射線被ばくの心配なく、その場でリアルタイムに観察できる非常に優れた診断ツールです。エコーを用いることで、腱板が断裂しているかどうかはもちろん、断裂の大きさ(部分断裂か完全断裂か)、断裂している腱の位置、そして残っている腱の質まで詳細に評価することが可能です。この「見える診断」により、痛みの根本原因を正確に特定し、患者様一人ひとりに最適な治療計画を立てることができます。レントゲン検査も併用し、骨の変形や骨棘の有無などを確認します。

治療

腱板断裂の治療方針は、断裂の大きさ、患者様の年齢、活動レベル、症状の強さなどを総合的に考慮して決定します。治療法は大きく「保存療法」と「手術療法」に分けられ、近年ではその中間に位置する「再生医療(PRP療法)」も新たな選択肢となっています。

保存療法

断裂が比較的小さい場合や、高齢で活動性が高くない方、症状が軽度な場合には、まず保存療法を行います。

  • リハビリテーション: 治療の基本となります。痛みを悪化させない範囲で、肩甲骨周りの筋肉や残っている腱板の機能を強化する運動を行います。これにより、肩の動きを安定させ、痛みを軽減させることを目指します。当院では、専門の理学療法士が医師と連携し、個別のプログラムを作成・指導します。
  • 注射療法: 痛みが強い場合には、エコーガイド下で正確に炎症部位(肩峰下滑液包など)にヒアルロン酸やステロイドを注射し、痛みを和らげます。

再生医療(PRP療法)

保存療法で十分な改善が得られない部分断裂のケースや、手術を避けたいと考える方に対して、当院ではPRP(多血小板血漿)療法という先進的な選択肢をご用意しています。これは、患者様ご自身の血液から、組織の修復を促す「成長因子」を豊富に含む血小板を濃縮して抽出し、断裂部に注射する治療法です。自己治癒力を高めて腱の修復を促すことを目的としており、手術以外の新しい選択肢として注目されています。

体外衝撃波治療

リハビリや注射療法で十分な改善が見られない場合や、手術を避けたい方に対する新たな選択肢です。痛みを伝える神経の働きを抑えたり、血流を改善して組織の再生を促したりすることで、痛みを和らげ、治癒を促進する治療法です。特に、肩の腱に石灰が沈着して強い痛みを引き起こす「石灰沈着性腱板炎」に高い効果が期待できます。1回あたり15分程度の短い施術時間で、数回繰り返すことで効果が期待できます。治療中に痛みを感じることがありますが、出力を調整しながら進めるためご安心ください。

手術療法

転倒などによる外傷性の完全断裂、保存療法で改善しない場合、あるいは若年で活動性の高い方には、手術療法が推奨されます。当院では、患者様への負担が少ない「関節鏡視下腱板修復術」を第一選択としています 。これは、数カ所の小さな切開創からカメラ(関節鏡)と専用の器具を挿入し、モニターで確認しながら断裂した腱を骨に縫い付ける手術です。従来の切開手術に比べて傷が小さく、筋肉へのダメージも少ないため、術後の痛みが少なく、早期の社会復帰が期待できます。

どの治療法が最適かは、専門医による正確な診断に基づいて判断することが不可欠です。肩の痛みでお悩みの方は、自己判断せず、ぜひご相談ください。

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