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disease足底腱膜炎
症状
足底腱膜炎は、足の裏、特にかかとに痛みが生じる疾患です。その特徴的な症状として、朝起きてからの「最初の一歩」で、かかとの内側前方に鋭い痛みを感じることが挙げられます。これは、就寝中に足底の組織が縮んだ状態で固まり、起床時に急激な負荷がかかるためです。歩き始めると徐々に痛みが和らぐことが多いため、「少し様子を見よう」と考えがちですが、その後、長時間歩いたり立ったりするうちに再び痛みが強くなるというパターンを繰り返すことがこの疾患の典型的な兆候です。
ランニングなどのスポーツ活動中にも同様の痛みのパターンが見られます。運動の開始時は痛みが強くても、続けるうちに軽快し、長時間になると再び痛みが強まる傾向があります。この一連の症状は、日常生活やスポーツ活動に大きな影響を与えるため、放置せずに適切な対処を行うことが重要です。
原因
足底腱膜炎は、足底の腱組織である足底腱膜が、繰り返し加わる牽引力や圧迫によって微細な損傷を起こし、炎症や組織の変性が生じることで発症します。この疾患の主な原因は、足への過度な負担(オーバーユース)ですが、それに加えて個人の身体的な特徴や環境要因も複雑に絡み合っています。
具体的な要因としては、長時間の立ち仕事や歩行、ランニング、ジャンプなど、足の裏に継続的な衝撃が加わる活動が挙げられます。特にマラソン選手に頻度が高いことは、この疾患がオーバーユースと密接に関係していることを示唆しています。また、体重増加も足底腱膜への負担を増大させる一因となります。さらに、クッション性の低い靴や足に合わない靴も、足への衝撃を和らげることができず、症状を悪化させる可能性があります。
個々の足の構造も発症に関わることがあります。土踏まずが低い扁平足や、逆に土踏まずが高すぎるハイアーチは、歩行時や運動時に足底腱膜にかかるストレスを増大させ、炎症を引き起こす要因となります。このように、足底腱膜炎は単一の原因で起こるのではなく、複数の要因が複合的に作用して発症することが多いため、診断と治療においてはこれらの要因を総合的に評価することが重要です。
診断
足底腱膜炎の診断は、まず患者様からの詳細な問診と、専門医による丁寧な触診から始まります。痛みの場所、いつ痛みを感じるか、痛みの強さなどを詳しく伺い、足底腱膜が踵の骨に付着している部分に圧痛(押したときの痛み)がないかを確認します。
そして、本疾患の診断において極めて有用なのが、当院が力を入れているエコー(超音波)検査です。超音波検査は、体内の組織に超音波を当てることで、組織の状態をリアルタイムで視覚的に確認できる非侵襲的な検査です。これにより、足底腱膜の厚みや内部の状態を詳細に調べることができます。健常な足底腱膜の厚みが約2-4mmであるのに対し、足底腱膜炎を発症している場合には、炎症によって厚みが5-7mm以上に肥厚していることがよく見られます。
この検査は、診察室ですぐに行うことができ、放射線被ばくの心配もなく、患者様の負担が少ないという利点があります。超音波検査によって客観的な画像所見を得ることで、患者様の自覚症状と合わせて、正確な診断へと繋げることができます。
治療
足底腱膜炎の治療は、主に保存療法が中心となります。症状の約9割は、これらの治療によって12ヶ月以内に改善すると言われています。初期段階では、まず足への負担を減らすための処置が中心となります。
- 安静と活動量の調整: ランニングなどの激しい活動は一時的に中止し、足底腱膜への負担を軽減することが重要です。
- 運動療法・リハビリテーション: 足底腱膜やアキレス腱のストレッチは、組織の柔軟性を高め、負担を軽減するのに有効です。また、足底のアーチを支える筋肉(足趾屈筋群など)を鍛えるトレーニング(例:タオルギャザー)も、体重や衝撃を支える力を高める上で非常に重要です。
- 装具療法: インソールやパッドなどを使用し、足のアーチを安定させることで、足底腱膜にかかる負担を軽減します。
- 体外衝撃波治療: 長期間痛みが引かない「難治性足底腱膜炎」に対する、保険適用となる唯一の治療法です。体外から特殊な衝撃波を患部に照射し、痛みを感じる神経の活動を抑制するとともに、組織の修復や自然治癒力を高める効果が期待できます。麻酔や切開が不要な非侵襲的な治療で、1回の治療時間は10〜15分程度と短く、治療後すぐに歩くことが可能です。平均60〜80%という高い有効性が報告されており、慢性的な痛みにお悩みの方にとって、安全で効果的な選択肢です。