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アキレス腱断裂

症状

アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉と踵の骨をつなぐ、人体で最も強靭な腱の一つです。この腱が断裂すると、通常、以下のような特徴的な症状が現れます。 多くの患者様が、断裂した瞬間に「後ろから誰かに強く蹴られた」「バットで叩かれた」「ボールが当たった」といった強い衝撃や痛みを訴えます。この感覚は、外的要因がないにもかかわらず、外部から強い力が加わったかのように感じられる点で特異的です。また、「ブチッ」という破裂音や断裂音が聞こえることもあります。 断裂直後であっても、患者様はある程度の歩行や足首を動かすことが可能です。しかし、地面を蹴って体を前に進めるために重要な「つま先立ち」の動作は、アキレス腱が機能しないため、ほぼ不可能となります。この「つま先立ちができない」という事実は、アキレス腱断裂を強く示唆する重要な症状の一つです。 また、断裂した部位には、触診によってへこみや窪み(陥凹)が生じ、強い圧痛を伴うことが一般的です。 アキレス腱断裂の症状は、ふくらはぎの肉離れと類似しているため、初期段階で見逃されたり、誤診されたりする可能性があります。特に、受傷直後でも歩行が可能であるという事実は、患者様自身が軽度な損傷と自己判断し、医療機関への受診が遅れる原因となることがあります。

原因

アキレス腱断裂は、スポーツ活動中の急激な負荷によって発生することが最も一般的です。健康な腱に突然生じるわけではなく、多くの場合、腱の組織が弱くなっている状態(変性)が背景にあると考えられています。 バスケットボール、バレーボール、テニス、サッカー、陸上競技など、ダッシュ、ジャンプ、ターン、着地といった動作を伴うスポーツ活動中に、ふくらはぎの筋肉が急激に収縮したり、強く伸ばされたりすることで腱に瞬間的な強い張力が生じ、断裂につながります。

潜在的なリスク要因としては、以下のようなものがあります。

  • 腱の変性: 日々の活動やスポーツによって蓄積された小さな損傷が修復されずにいると、腱の組織が変性し、弾力性が失われ、もろくなります。このような状態は、断裂のリスクを高めます。
  • 薬剤性リスク: まれではありますが、フルオロキノロン系抗菌薬やコルチコステロイドなどの特定の薬剤を使用している場合、明らかな外的要因がなくてもアキレス腱が断裂することがあります。

診断

アキレス腱断裂の診断は、患者様からの詳細な問診と、医師による身体所見が最も重要であり、これらによって高い確率で診断が確定します。

  • 問診と身体所見: まず、医師は受傷時の状況、痛みや感覚、その後の歩行能力について詳しく聞き取ります。その上で、アキレス腱の断裂部に触診を行い、へこみ(陥凹)がないかを確認します。この陥凹の触知は、アキレス腱断裂を最も確実に診断する方法の一つです。
  • トンプソンテスト: アキレス腱断裂の診断において広く用いられるのが、トンプソンテスト(Thompson test)です。患者様にうつ伏せになってもらい、医師がふくらはぎの筋肉を強くつまみます。正常なアキレス腱が機能している場合、この動作によって足首は自然に底屈(つま先が下がる)しますが、アキレス腱が断裂していると、この底屈が見られなくなるか、著しく減弱します。
  • 超音波(エコー)検査: 身体所見やトンプソンテストで診断がほぼ確定する場合が多い一方で、超音波(エコー)検査は診断を確定させる上で非常に有用な補完的ツールとなります。エコー検査は、腱の連続性をリアルタイムで確認できるため、断裂の有無を迅速に判断することが可能です。また、この検査は、診断の確定だけでなく、治療中の腱の治癒過程を定期的に観察するためにも使用されます。

治療

アキレス腱断裂の治療法には、大きく分けて「保存療法」と「手術療法」の2種類があり、患者様の年齢、活動レベル、生活スタイル、基礎疾患の有無などを総合的に考慮して選択されます。どちらの治療法も適切に行えば良好な回復が期待できます。

  • 保存療法: 手術を行わずに、ギプスや特殊な装具を用いて足首を固定し、腱が自然に治癒するのを待つ方法です。この治療法は、入院や手術が不要なため、経済的な負担が少なく、手術に伴う合併症(感染症や神経損傷など)のリスクがないという利点があります。一方で、ギプスによる固定期間が数週間と比較的長くなる傾向があり、その結果、関節の可動域制限や筋力低下が生じ、リハビリに時間がかかる可能性があります。また、手術療法と比較して再断裂率が高いとする報告も存在します。
  • 手術療法: 断裂した腱を直接縫い合わせる方法です。腱を強固に修復できるため、再断裂のリスクが低いとされており、特にスポーツ選手など早期の競技復帰を目指す場合に有効な選択肢となります。また、保存療法に比べて比較的早期から部分荷重やリハビリを開始できるという利点もあります。しかし、手術には費用がかかるほか、麻酔や感染症、神経損傷といった合併症のリスクを伴います
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