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disease腰痛
症状
腰痛は、誰もが一度は経験する身近な症状ですが、その痛み方や現れ方は人によって様々です。突然激しい痛みが走る「急性腰痛」もあれば、鈍い痛みが長く続く「慢性腰痛」もあります。ご自身の腰痛がどのようなタイプかを把握することは、診察時に医師に正確に症状を伝える上で非常に重要です。
腰痛の主な症状としては、以下のようなものが挙げられます。
- 痛み方と場所の多様性: 腰の真ん中が重く痛い、腰全体に鈍い張り感がある、片側の腰だけに鋭い痛みがあるなど、痛みの性質や場所は多岐にわたります。
- 特定の動作との関連性: 腰を反らす、ひねる、前かがみになる、重いものを持ち上げるなどの動作で痛みが強まることがあります。また、長時間座りっぱなしや立ちっぱなしなど、同じ姿勢を続けることで痛みが悪化することもあります。
- 下肢への放散痛やしびれ: 腰の痛みだけでなく、お尻や太ももの裏、さらにはふくらはぎや足先にかけて、しびれや電気が走るような痛みを感じることがあります。これは、腰椎から出ている神経が圧迫されることによって生じる「坐骨神経痛」と呼ばれる症状の可能性があります。
- 朝の痛み: 朝起きた時や、動き始めに腰が固まって痛むものの、しばらく体を動かしているうちに痛みが軽減する傾向もあります。
診察では、これらの痛みの性質や、いつ、どのような状況で痛みが出るのかを具体的にお聞かせいただくことが、正確な診断への第一歩となります。
原因
腰痛の原因は多岐にわたりますが、実は腰痛全体の約85%は、画像検査をしても明確な原因を特定できない「非特異性腰痛」であるとされています。これは、骨や神経に明らかな病変が見られない腰痛であり、多くの場合は日常生活での姿勢や身体の使い方が深く関わっています。
非特異性腰痛の主な原因としては、以下のようなものが考えられます。
- 姿勢や身体の使い方:
- 不良姿勢: デスクワークや長時間の運転などで猫背や前かがみの姿勢が続くと、腰椎(背骨)やその周りの筋肉に過度な負担がかかります。また、足を組む、横座りをする、片足に重心をかけて立つといった無意識の習慣も、骨盤の歪みや腰へのストレスを増大させます。
- 不適切な動作: 膝を曲げずに腰をかがめて重いものを持ち上げると、腰に瞬間的な強い負荷がかかり、「ぎっくり腰」などの急性腰痛を引き起こすことがあります。
- 筋肉の緊張や筋力低下:
- 腰を支える腹筋や背筋のバランスが崩れると、腰への負担が大きくなります。特に、お腹の深い部分にある腸腰筋や、腰を安定させる腰方形筋などが凝り固まったり、弱ったりすると、腰痛を引き起こしやすくなります。
- 運動不足や肥満も、腰を支える筋力の低下や腰への過剰な負担につながり、腰痛のリスクを高めます。
診断
腰痛の診断では、まず患者様から痛みの詳細を丁寧にお伺いする「問診」が最も重要です。どのような時に痛み、どのような姿勢で楽になるかなど、患者様ご自身のお話が、痛みの原因を特定する上で非常に貴重な情報となります。
次に、医師が患者様の腰や背中、お尻などを直接触れたり、体を動かしたりする「身体診察」を行います。この診察を通じて、痛みが強く出る場所(圧痛点)や、体の歪み、神経の状態などを総合的に評価します。
当院の診断において、これらの診察に加えて特に有用なのが「エコー(超音波)検査」です。エコー検査は、レントゲンでは映らない筋肉や腱、靭帯といった軟部組織を詳細に観察できる点が大きな特徴です。さらに、エコーの最大の利点は、体を動かしながらリアルタイムで体内の状態を観察できる「動的評価」が可能なことです。
多くの腰痛の原因が、不良姿勢や筋肉の機能不全による「目に見えない」問題であることを考えると、静止した画像だけでは捉えきれない、動作中の筋肉や関節の異常な動きを直接目で確認できるエコー検査は、腰痛の原因をより正確に特定するために不可欠なツールと言えます。また、放射線を使用しないため、体への負担が少ないという安全性も大きなメリットです。
治療
腰痛の治療は、痛みの原因や程度に応じて様々なアプローチを組み合わせる「保存療法」が中心となります。
- 安静と活動修正: 痛みが強い初期には、無理な動作を避けて安静にすることが有効です。しかし、長期にわたる過度な安静は、筋力低下を招き、かえって症状の改善を遅らせる可能性があります。痛みのない範囲で少しずつ体を動かす方が、早期回復につながることが科学的にも示されています。
- 薬物療法: 痛みや炎症が強い場合は、内服薬や外用薬(湿布など)を用いることで、つらい症状を緩和させます。
- リハビリテーション: 痛みの根本原因を改善し、再発を予防するためには、リハビリテーションが不可欠な治療の柱となります。腰を支える腹筋や背筋といった体幹の筋力をバランスよく強化するトレーニングや、筋肉の柔軟性を高めるストレッチなどを継続的に行います。
- 体外衝撃波治療: なかなか痛みが引かない慢性の腰痛に対しては、体外衝撃波治療が有効な選択肢となります。この治療法は、痛みのある患部に圧力波を当てることで、痛みの伝達物質を減少させたり、組織の再生を促したりする効果が期待できます。特に、筋肉の表面にある筋膜が分厚くなることで生じる「筋筋膜性腰痛」や、慢性的な痛みに効果が見込まれます。体外衝撃波治療は低侵襲で安全性が高く、治療直後から日常生活に戻れるという利点があります。
腰痛は生活習慣と密接に関わっているため、治療と並行して、ご自宅でもできる予防法を取り入れることが非常に大切です。日頃から正しい姿勢を意識し、適度な運動やストレッチを続けることが、痛みの再発を防ぐ鍵となります。
ご自宅でできる簡単なストレッチの例をいくつかご紹介します。
- 膝倒しエクササイズ: 仰向けに寝て両膝を立て、両手を真横に広げます。息を吐きながら両膝をゆっくりと左右に倒します。
- 背中を丸めるストレッチ: 椅子に浅く腰掛け、両手を膝に置きます。息を吐きながら背中を丸めるようにゆっくりと体を前に倒し、手の動きに合わせて足首まで降ろしていきます。
- 体幹側屈ストレッチ: 腕を頭の上に伸ばし、頭の上で手を組みます。上体をひねらずにゆっくりと左右に倒し、体側が伸びるのを感じます。
これらの体操は、無理のない範囲で継続することが重要です。もし、体操中に異常な痛みを感じた場合は、すぐに中止し、当院までご相談ください。