肩の痛み・肩関節治療
shoulder肩の痛みを改善する多彩な治療法
当院では、患者様の症状、ライフスタイル、そして治療に対するご希望を総合的に判断し、幅広い選択肢の中から最適な治療法をご提案します。ここでは、当院が提供する主な治療法について詳しくご説明します。
保存療法:治療の基本となるリハビリテーション
多くの肩関節疾患において、まず初めに行われるのが保存療法です。これは手術以外の方法で症状の改善を目指す治療の総称であり、その中心となるのが理学療法士による専門的なリハビリテーションです。
リハビリテーションの目的は、単に痛みを和らげることだけではありません。
- 関節可動域の改善: 痛みや拘縮によって狭くなった肩の動きを、正しい方法で少しずつ広げていきます。
- 筋力強化: 肩を安定させるインナーマッスル(腱板)や、肩の土台となる肩甲骨周りの筋肉を的確に鍛え、関節への負担を減らします。
- 正しい動作の習得: 痛みを引き起こす原因となった誤った身体の使い方を修正し、再発しないための動きを身につけます。
このほか、痛みが強い時期には、炎症を抑えるための内服薬や湿布、あるいは関節内への注射療法を併用し、リハビリをスムーズに進められる環境を整えます。
【切らない治療】再生医療(PRP療法):自己治癒力を引き出す最先端治療
「手術はできるだけ避けたい」「従来の治療では痛みが改善しない」という方々にとって、再生医療は新たな希望となる可能性があります。当院では、患者様ご自身の血液が持つ「治癒能力」を最大限に活用するPRP療法を導入しています。
PRP(多血小板血漿)療法とは
私たちの血液中には、傷を治す働きを持つ「血小板」という成分が含まれています。この血小板には、組織の修復を促す様々な「成長因子」が豊富に含まれています。PRP療法は、患者様から採血した血液を特殊な遠心分離機にかけ、この血小板と成長因子を高濃度に凝縮した成分(PRP)を抽出。それを超音波ガイド下で正確に損傷部位へ注射することで、身体が本来持つ治癒プロセスを活性化させ、組織の修復を強力にサポートする治療法です。
再生医療の主なメリット
- 高い安全性: ご自身の血液を使用するため、アレルギー反応や拒絶反応、感染症のリスクが極めて低いのが特徴です。
- 組織の根本的な修復促進: 痛みを一時的に抑える対症療法とは異なり、損傷した腱や軟骨、靭帯といった組織自体の修復を目指します。
- 身体への負担が少ない: 採血と注射のみで完了する日帰り治療です。入院の必要がなく、日常生活への復帰もスムーズです。
- 手術回避の可能性: これまで手術しか選択肢がなかったような症例でも、再生医療によって症状が改善し、手術を回避できるケースがあります。
腱板の部分断裂、治りにくい腱鞘炎、変形性肩関節症など、様々な疾患が適応となります。
【切らない治療】体外衝撃波治療:長引く痛みにアプローチ
体外衝撃波治療は、ヨーロッパで普及し、スポーツ選手の治療にも広く用いられている、身体の外から痛みの原因にアプローチする先進的な治療法です。
この治療では、特殊な装置を使って「衝撃波」という高出力の圧力波を発生させ、皮膚の上から慢性的な痛みを引き起こしている患部(硬くなった腱や石灰沈着部など)に照射します。衝撃波の刺激により、痛みを伝える神経(自由神経終末)を麻痺させて即時的に痛みを和らげるとともに、患部に微細な損傷を意図的に起こすことで、治癒が停滞していた組織に「修復を再開せよ」というスイッチを入れます。これにより、新しい血管の生成が促され、組織の修復プロセスが活性化されるのです。
特に、注射やリハビリで改善しない腱付着部炎や、激痛を伴う石灰沈着性腱板炎に対して高い効果が期待できます。治療は1回15分程度で、麻酔も不要です。治療後に一時的な赤みや痛みが出ることがありますが、数日で軽快します。
関節鏡視下手術:小さな傷で、確実な修復を目指す
保存療法や再生医療で十分な改善が見られない場合や、腱板の完全断裂、骨の損傷を伴う反復性脱臼など、構造的な修復が必要な場合には、手術療法が最も有効な選択肢となります。当院では、患者様の身体への負担を最小限に抑える関節鏡視下(かんせつきょうしか)手術を標準術式としています。
これは、従来のように肩を大きく切開するのではなく、数ミリ程度の小さな切開創(ポータル)を数カ所作り、そこから関節鏡と呼ばれる高性能の小型カメラと専用の手術器具を挿入して行う低侵襲手術です。モニターに映し出される鮮明な拡大映像を見ながら、損傷した組織を正確に修復します。
関節鏡視下手術のメリット
- 傷が小さく目立たない: 美容的なメリットはもちろん、正常な筋肉へのダメージを最小限に抑えます。
- 術後の痛みが少ない: 組織への侵襲が少ないため、術後の痛みが軽く、回復がスムーズです。
- 早期の社会復帰が可能: 回復が早いため、入院期間が短縮され、より早く日常生活や仕事に復帰できます。
当院では主に、切れた腱板を骨に縫い付ける「関節鏡視下腱板修復術」や、剥がれた関節唇を修復して肩の安定性を取り戻す「関節鏡視下バンカート修復術」などを行っています。
| Table 1: 治療法の比較 | ||||
| 治療法 | 保存療法(リハビリ等) | 再生医療(PRP療法) | 体外衝撃波治療 | 関節鏡視下手術 |
| 概要 | リハビリや薬で機能回復を目指す、治療の基本 | 自己血液で組織の修復を促す、最先端の非手術療法 | 衝撃波で慢性的な痛みの原因にアプローチ | 小さな傷で関節内部を根本的に修復 |
| 身体への負担 | 最小 | 低(注射のみ) | 低(非侵襲) | 中(低侵襲手術) |
| 治療期間の目安 | 数週間〜数ヶ月の通院 | 日帰り治療(1回〜数回) | 週1回を数回通院 | 入院または日帰り手術+術後リハビリ |
| 主な対象 | 初期症状、軽度の損傷、術後の機能回復 | 腱板損傷、靭帯損傷、変形性関節症 | 慢性的な腱の痛み、石灰沈着性腱板炎 | 腱板の完全断裂、反復性肩関節脱臼 |
| 保険適用 | 適用 | 自費診療 | 自費診療 | 適用 |