脱臼について

dislocation

リハビリと再発予防プログラム

なぜリハビリが重要なのか?

肩関節脱臼の治療において、リハビリテーションは整復や手術と同じくらい、あるいはそれ以上に重要な役割を担います。脱臼によって損傷し、ゆるんでしまった関節の安定性を取り戻し、「再脱臼の連鎖」を断ち切るためには、質の高いリハビリが不可欠です。

リハビリの目的は、単に筋力をつけることだけではありません。

  • 関節の安定化: 肩の深層部にあるインナーマッスル(腱板)を的確に鍛え、関節を正しい位置に保つ力を再獲得します。
  • 可動域の回復: 固定によって硬くなった関節の動きを、安全な範囲で徐々に取り戻します。
  • 正しい身体の使い方の習得: 肩に負担のかかる誤った動作を修正し、再発しにくい身体の使い方を身につけます。

医師と理学療法士が密に連携し、患者様一人ひとりの状態に合わせた最適なプログラムを提供することが、スムーズな回復と競技復帰への鍵となります。

保存療法後のリハビリテーション

初回脱臼後、手術を行わずに治療する場合の一般的なリハビリの流れです。

固定期間中(〜約3週間)

肩関節は装具で安静に保ちますが、全く動かないでいると他の部分の機能が低下してしまいます。この時期は、肩に負担をかけない範囲で、肘や手首、指の曲げ伸ばし運動を行い、筋力や血行の維持に努めます。

固定除去後(約4週目〜)

装具が外れた直後は、関節が硬くなっています。

  • 可動域訓練: まずは、腕の力を抜き、振り子のようにブラブラと動かす運動(コッドマン体操)など、痛みや負担の少ない運動から開始します。理学療法士の指導のもと、安全な範囲で徐々に肩を動かす範囲を広げていきます。
  • 筋力強化: 関節の動きがある程度回復してきたら、肩の安定性に最も重要なインナーマッスル(腱板)のトレーニングを開始します。ゴムチューブ(セラバンド)などを用いて、軽い負荷から慎重に行います。

スポーツ復帰に向けて(約12週目〜)

日常生活に支障がなくなってきたら、競技復帰に向けたより専門的なトレーニングへと移行します。それぞれのスポーツで求められる特有の動き(投球動作など)を、正しいフォームで安全に行えるように段階的に練習していきます。

手術後のリハビリテーションプログラム

関節鏡視下手術などを受けた後のリハビリは、修復した組織を保護しながら、計画的に進めることが極めて重要です。

術後〜3週間(安静・固定期)

手術で縫合した関節唇や靭帯が、しっかりと骨に癒合するための最も大切な期間です。スリングなどの装具で肩を厳重に固定し、修復部位に負荷がかからないようにします。この時期のリハビリは、保存療法と同様に、肩以外の関節運動や、肩甲骨周りの筋肉の緊張をほぐすことが中心となります。

術後3週〜3ヶ月(可動域・筋力回復期)

医師の許可が出たら装具を外し、いよいよ肩関節を動かすリハビリを開始します。

  • 可動域訓練: 理学療法士がサポートしながら、修復部位にストレスがかからない安全な範囲で、少しずつ動かしていきます。特に、腕を外側にひねる動き(外旋)や、腕を後ろに引く動きは、再脱臼のリスクがあるため、自己判断で行わず、必ず専門家の指示に従ってください。
  • 筋力強化: 低負荷のインナーマッスルトレーニングから開始し、徐々に負荷を高めていきます。

術後3ヶ月〜6ヶ月(スポーツ復帰準備期)

修復した組織の強度が十分に得られてくる時期です。

  • 高負荷トレーニング: 腕立て伏せやウエイトトレーニングなど、より負荷の高いトレーニングが可能になります。
  • 競技特有のトレーニング: 競技復帰を目指し、ダッシュやジャンプ、コンタクトプレーなど、より実践に近い動きの練習を開始します。再脱臼の不安感を克服し、自信を持ってプレーに復帰できるよう、精神的なサポートも行います。

スポーツへの完全復帰は、筋力や可動域が十分に回復したことを確認した上で、通常は術後6ヶ月以降が目安となります。焦らず、着実にステップを踏んでいくことが、再発を防ぎ、長く競技を続けるための最善の道です。

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