肩の痛み・肩関節治療
shoulder肩を動かすと「ゴリゴリ」「ジョリジョリ」と音がして痛む
この症状、ありませんか?
- 腕を動かすと、肩の奥で「ゴリゴリ」「ジョリジョリ」と軋轢音(あつれきおん)がして、同時に痛みを伴う。
- 腕を上げる際に力が入らない、または脱力感がある。
- 夜間に肩がズキズキと痛んで、眠れないことがある。
- 腕を横から上げる時に、途中の特定の角度で痛みが走る。
- 洋服を着替えたり、物を持ち上げたりする動作が困難になった。
なぜこの症状が?考えられる主な原因
肩を動かすときの音と痛みの原因として、主に以下のような病気が考えられます。
- 腱板損傷・腱板断裂 肩のインナーマッスルである「腱板」と呼ばれるスジが、加齢や使いすぎ、転倒などの外傷によって傷ついたり、部分的に、あるいは完全に切れてしまう状態です。傷ついた腱板が肩を動かす際に周囲の骨に当たって「ジョリジョリ」「ゴリゴリ」といった軋轢音や痛みを引き起こします。夜間痛が強く、眠れないことで受診される方も多くいらっしゃいます。
- インピンジメント症候群(肩関節衝突症候群) 肩関節を動かす際に、肩甲骨の一部である「肩峰」と、その下を通る腱や滑液包が衝突して炎症を起こす状態です。腕を横から上げたときに、約60度から120度の特定の角度で鋭い痛みや引っかかり感があるのが特徴です。この炎症により関節内部の動きがスムーズでなくなり、肩を動かすたびに音が鳴ることがあります。
- 石灰沈着性腱板炎 腱板の中に原因不明の石灰(カルシウムの結晶)がたまる疾患です。突然、耐えられないほどの激痛が肩に現れるのが最も典型的な症状で、夜間は一睡もできない方もいるほどです。急性の痛みが落ち着いた後も、肩を動かした際に痛みや引っかかり感、音が残ることがあります。
これらの症状は、四十肩(五十肩)とよく似ていますが、腱板損傷では関節の動きが硬くなる「拘縮」が少ないか、あっても軽度であるという違いがあります。自己判断はせず、正確な診断を受けることが大切です。
診断について
当院では、まず患者様の症状を詳しくお伺いします 。いつから痛むのか、どのような動作で痛むか、夜間痛の有無、日常生活で困っていることなどを丁寧にお聞きします。
次に、専門的な徒手検査を行います。これは、医師が実際に患者様の肩を動かしながら、症状を客観的に把握するための検査です。例えば、腕をゆっくりと横から上げていく際に、途中の特定の角度(60度から120度)で痛みが出るかを確認したり 、腕を上げた位置で、その状態を保持できるかどうかをチェックしたりします 。これらの検査を通して、痛みの原因を特定するための手がかりを得ます 。
その後、画像診断としてレントゲン検査を行い、骨の状態を確認します 。さらに、超音波(エコー)検査を用いて、腱板の状態や炎症、石灰の沈着などを詳細に調べます 。超音波検査は、実際に肩を動かしながらリアルタイムで組織の状態を観察できるため、動的な評価に非常に有効です 。
これらの診察や検査を通じて、痛みの原因を正確に診断し、患者様一人ひとりに最適な治療法をご提案します。
治療について
診断に基づき、患者様の症状や原因となっている病気の種類、進行度に合わせて最適な治療法をご提案します。
- 安静 痛みが非常に強い急性期には、無理に肩を動かすと炎症を悪化させる可能性があるため、安静にすることが回復への第一歩となります。
- 薬物療法 痛みが強い場合は、飲み薬や湿布などの消炎鎮痛剤で痛みを軽減させます。
- 注射療法 薬物療法で痛みが改善しない場合や、夜間痛が続く場合には、局所麻酔剤やヒアルロン酸の注射を行うこともあります。
- 運動療法(リハビリテーション) 痛みが落ち着いた後、肩の可動域を回復させたり、残っている腱板の機能を高めるための専門的なリハビリを、理学療法士が指導します。
当院では、患者様一人ひとりの病状と希望を考慮し、最適な治療法を丁寧にご説明し、ご相談しながら治療を進めてまいります。特に、痛みの少ない治療と、日常生活を送りながらの治療に最大限配慮しています。
症状を和らげるために(医師に相談の上で)
以下の情報は一般的なものであり、自己判断での対処は危険です。必ず医師の診断と指示に従ってください。
- 姿勢の改善 長時間のデスクワークやスマートフォンの使用は、肩に不自然な圧力をかけ、筋肉の緊張を増大させます。定期的に姿勢を見直し、肩が内側に巻き込まれないように注意することが大切です。
- 肩甲骨のストレッチ 肩甲骨の動きをスムーズにすることで、肩周りの筋肉の柔軟性を高めます。肩に指先を当てて肘で円を描くように回したり、タオルの両端を両手で持って背中側で上下に動かしたりするストレッチが効果的です。
- 温めるケア 38〜40℃程度のぬるめのお湯にゆっくりと浸かることで、血行を促進し、固まった筋肉や腱を緩めることができます。
- 適切な運動習慣 バランスの取れた食事や、無理のない範囲でのウォーキング、水泳、ヨガなどの定期的な運動は、肩の筋肉や関節の健康を維持するために不可欠です。
一緒に見られることのある関連症状
肩の音や痛みと同時に、以下のような症状が見られることもあります。
- 腕や手のしびれ
- 腕の脱力感や握力低下
- 頑固な肩こり
- 腕が疲れやすい
これらの症状が複合的に見られる場合は、肩の疾患だけでなく、頸椎椎間板ヘルニアや胸郭出口症候群など、肩以外の様々な疾患が原因となっている可能性も考えられます。
その肩の音と痛み、放置しないでください
肩を動かすたびに「ゴリゴリ」と音がして痛む症状は、単なる「肩こり」や「年のせい」と自己判断してしまいがちです。しかし、その音と痛みは、放置することで症状が重症化し、日常生活に大きな支障をきたす可能性を秘めた、体の重要なサインであるかもしれません。
特に腱板損傷は、四十肩と似ているため見過ごされやすい疾患です。放置すると断裂が拡大し、痛みがさらに悪化するリスクがあります。早期に正確な診断と適切な治療を開始することは、痛みから解放され、快適な生活を取り戻すための最も確実な一歩です。
「たかが肩の音」と思わず、まずは一度、専門医にご相談ください。