肩の痛み・肩関節治療
shoulder腕に力が入りにくい、物を持ち上げようとすると力が抜ける感じがする
この症状、ありませんか?
- 物を持ち上げようとすると、急に腕の力が抜ける感じがする
- 腕を上げようとすると、肩の動きがスムーズでなく力が入らない
- 腕や手、手指にしびれや痛みがある
- 夜間に肩の痛みで目が覚める
- 腕を動かしたときに「ジョリジョリ」という軋轢音(あつれきおん)がする
なぜこの症状が?考えられる主な原因
腕に力が入りにくい、物を持ち上げようとすると力が抜けるという症状は、主に以下の病気が考えられます。
- 腱板断裂 肩の骨と肩甲骨をつなぎ、肩の安定と動きを支える4つの筋肉と腱の集まり「腱板」が、加齢による老化や転倒、スポーツ外傷などの強い外力によって損傷・断裂した状態です。腕を上げようとすると力が入らず、夜間にズキズキと痛む「夜間痛」も特徴的です。
- 頚椎症性神経根症 加齢による頚椎(首の骨)の椎間板の膨らみや骨のとげの形成によって、脊髄から腕や手へ伸びる「神経根」が圧迫されることで発症します。首から肩、腕、手指にかけての痛みやしびれが生じ、腕や手に力が入らない、感覚が鈍くなるなどの脱力感が現れます。特に、首を後ろに反らせる動作で症状が強くなる傾向があります。
- 上腕二頭筋長頭腱炎・断裂 肩関節を通過する上腕二頭筋長頭腱に、野球やテニスなど肩に反復的な負荷がかかることで炎症(腱炎)が生じたり、断裂したりする疾患です。主な症状は、肩の前側に生じる痛みや、荷物を持ち上げたり、肘を曲げたりする動作での筋力低下です。
- 胸郭出口症候群 首と胸の間にある「胸郭出口」という狭い空間で、腕や手に向かう神経や血管が圧迫されることで生じる疾患です。腕や手のしびれ、痛み、筋力低下などの症状が出現します。電車でつり革を持つなど、腕を上げた状態を維持する際に症状が出やすいことが特徴的です。
これらの症状は、ご自身で判断せず、専門医の診察を受けることが大切です。自己判断は、正確な診断を遅らせたり、適切な治療の機会を逃したりする可能性があります。
診断について
当院では、まず患者様の症状を詳しくお伺いします。いつから症状があるのか、どのような動作で痛みや脱力感が強くなるかなど、症状と腕の動きの関係性を詳しく把握することが、正確な診断に繋がります。また、長時間のデスクワークやスポーツ歴など、日常生活や職業環境についてもご質問し、症状の背景にある要因を総合的に評価します。
その後、患部を直接触れて状態を確認する触診と、専門的な徒手検査を行います。徒手検査は、医師が手で患者様の腕や肩を動かしながら、筋力低下や痛みの有無を確認する手技です。例えば、腱板断裂が疑われる場合には、腕を上げていただく検査を行います。これは、医師が患者様の腕を水平まで持ち上げた後、手を離してもその状態を維持できるかを確認するものです。もし腕が力なく落ちてしまう場合は、腱板の損傷が強く示唆されます。また、上腕二頭筋長頭腱炎が疑われる場合は、腕をひねる動作で痛みが出るかを確認する検査を行います。これは、肘を90度に曲げた状態で、あたかもドアノブをひねるように腕を動かしてもらい、医師がそれに抵抗を加えることで、上腕の筋肉に痛みが生じるかを確認するものです。これらの丁寧な問診と徒手検査を通じて、症状の原因を正確に診断し、最適な治療法をご提案します。
治療について
診断に基づき、患者様の症状や原因となっている病気の種類、進行度に合わせて最適な治療法をご提案します。
- 保存療法 腱板断裂を含む多くの疾患において、約7割の患者さんが手術をせずに症状が軽快すると報告されています。そのため、当院ではまず、手術を伴わない保存療法を基本とします。具体的には、症状を引き起こす動作を避け、痛みが強い場合には三角巾などで腕を固定して安静を保ちます。痛みを和らげるために、消炎鎮痛剤の内服や湿布、また痛みが特に強い場合には患部に直接薬剤を注入するブロック注射も有効な選択肢となります。
- リハビリテーション 痛みが落ち着いてきたら、リハビリテーションを開始します。リハビリの目的は、残存している腱板や肩甲骨周囲の筋肉を鍛え、肩への負担を軽減し、腕の可動域を広げることです。医師の指示のもと、理学療法士と共に、腱板以外の筋肉を使った肩の動かし方を訓練することで、症状の軽減や再発防止を目指します。
当院では、患者様一人ひとりの病状と希望を考慮し、最適な治療法を丁寧にご説明し、ご相談しながら治療を進めてまいります。
症状を和らげるために(医師に相談の上で)
以下の情報は一般的なものであり、自己判断での対処は危険です。必ず医師の診断と指示に従ってください。
- 正しい姿勢を意識する デスクワークやスマートフォンの使用時に猫背にならないように、深く椅子に座り背筋を伸ばすことを心がけましょう。正しい姿勢を保つことは、首や肩への負担を減らす上で非常に重要です。
- 無理な動作を避ける 重い物を持ち上げる動作や、肩に強い負荷をかけるスポーツは、症状を悪化させる可能性があるため、一時的に中断することが賢明です。
- こまめに休憩を取る 長時間の同じ姿勢を続けるときは、こまめに休憩を取り、軽く肩を回すなど、肩や腕を動かすことも、筋肉の緊張を和らげ、血行を促進するのに役立ちます。
- セルフケアとしてのストレッチや体操 痛みのない範囲で行える、簡単なストレッチや体操を取り入れることも有効です。壁に手をついて肘を伸ばし、肩や腕の前方をゆっくりと伸ばすストレッチや、あご引き運動(チンインエクササイズ)や肩甲骨寄せエクササイズも姿勢改善に役立ちます。
一緒に見られることのある関連症状
腕に力が入りにくい症状と同時に、以下のような症状が見られることもあります。
- 夜間痛
- しびれ
- 可動域の制限
これらの症状が複合的に見られる場合は、腕の脱力感の根本に、神経や筋肉の複合的な問題が潜んでいる可能性があります。
その腕の脱力、放置していませんか?
「腕に力が入りにくい」「物を持ち上げようとすると力が抜ける」という症状は、単なる疲れや加齢によるものと安易に考えてしまいがちです。しかし、その背後には腱板断裂や頚椎症など、適切な治療を必要とする疾患が隠れている可能性があります。
これらの症状を放置すると、日常生活の質が著しく低下し、病態が進行して、元に戻りにくい状態に陥るリスクもあります。
早期に専門の医療機関を受診することで、正確な診断に基づいた適切な治療を開始し、症状の改善と快適な生活を取り戻すことが期待できます。まずは一度、専門家にご相談いただくことを強く推奨いたします。