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disease外反母趾
症状
外反母趾は、足の母指(親指)が小指側へ「くの字」に曲がり、付け根の関節の内側が突出する変形を特徴とする疾患です 。この突出部が靴に当たって摩擦や圧迫を受けることで、痛みや炎症を引き起こすことが最も一般的な症状です 。
以下のような症状がみられる場合は、外反母趾の可能性があります。
- 親指の付け根が突出して、赤みや腫れを伴う 。
- 靴を履いているとき、特に歩行時に親指の付け根が痛む 。
- 変形が進むと、靴を脱いでいる時や安静時にも痛みが生じる 。
- 足のアーチが崩れ、足裏にたこ(胼胝)や魚のめ(鶏眼)ができやすい 。
- 親指の変形が原因で、人差し指や中指が曲がったり、痛んだりする 。
外反母趾は進行性の病気で、放置すると痛みが増すだけでなく、他の足の指の変形(ハンマートゥなど) や、ひいては歩行困難、膝の痛みにもつながる可能性があります 。変形が軽度でも強い痛みを伴うケースは少なくないため 、痛みや違和感を自覚した段階での早めの対応が大切です 。
原因
外反母趾は、生まれつきの足の形といった先天的な要因と、日々の生活における後天的な要因が複雑に絡み合って発症します 。
先天的な要因
- 足の形や骨格: 親指が長い「エジプト型」の足は、体重がかかった際に親指の付け根にねじれた力がかかりやすく変形を助長しやすいとされています 。また、足のアーチが弱い扁平足や開張足の傾向がある人も、外反母趾のリスクが高まります 。
- 遺伝: 外反母趾そのものが遺伝するわけではありませんが、親から外反母趾になりやすい体質や骨格構造を受け継いでいる可能性はあります 。
後天的な要因
- 不適切な靴の着用: 外反母趾の最も大きな原因とされており、特にヒールの高い靴や、つま先が細く幅の狭い靴は、親指を強く圧迫し、付け根に過度な負担をかけ続けます 。また、大きすぎる靴も歩行時に足が靴の中で滑り、指が靴先に押し込められて変形を悪化させる原因となります 。
- 歩行習慣と筋力低下: 足指をうまく使わない「ペタペタ歩き」や、加齢による足の筋力・柔軟性の低下も、足の不安定感を引き起こし、変形を進行させる原因となります 。
多くの場合、これらの要因が複合的に絡み合うことで外反母趾は進行していきます。早期に原因を特定し、適切な対策を取ることが進行を抑制する鍵となります 。
診断
外反母趾の診断では、まず患者様から詳しくお話を伺い、痛みの程度や生活で困っていることなどを確認します 。次に、以下の方法を組み合わせて行います。
- 視診・触診: 足の形状や母指の曲がりの程度、突出部の赤みや腫れなどを目視で確認し、痛みの出る部位を特定する診察を行います 。
- レントゲン検査: 体重をかけた状態でのレントゲン写真を撮影し 、足の骨格やアーチ構造を客観的に評価します 。これにより、親指の変形の度合いを「外反母趾角」として数値化し、日本整形外科学会のガイドラインに基づき進行度を分類します 。
- エコー(超音波)検査: 必要に応じて実施し、レントゲンでは映らない軟部組織の状態をリアルタイムで観察します 。突出部の炎症(バニオン)や血流の状態を詳細に確認することで、痛みの原因をより正確に特定する上で有効です 。
当院では、見た目の変形だけでなく、患者様が抱える「痛み」に焦点を当てた多角的な評価により、一人ひとりに最適な治療計画を立案しています。
治療
外反母趾の治療は、まず手術を必要としない保存療法から始めるのが一般的です 。当院では、患者様の症状やライフスタイルに合わせた多角的なアプローチを組み合わせ、痛みの軽減と根本原因の改善を目指します。
- 靴指導・インソール療法: 親指の付け根がフィットし、つま先にゆとりがあるヒールの低い靴を推奨しています 。また、足のアーチをサポートするインソールの選定・調整を行うことで、歩行時のバランスを改善し、変形の進行を抑制します 。
- 運動療法(リハビリテーション): 足のアーチを支える筋力を強化し、足全体の安定性を高めるための運動療法を、理学療法士が指導します 。床に敷いたタオルを足の指で手繰り寄せる「タオルギャザー」や、両足の親指にゴムをかけて開く「ホーマン体操」などが有効です 。
- 薬物療法: 痛みが強い場合は、消炎鎮痛剤の内服や湿布を用いることで、患部の炎症を抑えます 。
- 手術療法: 上記の保存療法でも痛みが改善しない場合や、変形が著しく進行し日常生活に著しい支障をきたしている場合は、手術も選択肢となります。