脱臼について
dislocation肩関節脱臼の原因とリスク要因:スポーツ・日常生活・外傷
肩関節脱臼の主な原因
肩関節脱臼は、肩関節の構造的な許容範囲を超える強い外力が加わることで発生します。その原因は、激しいスポーツ活動から日常生活でのふとした事故まで多岐にわたります。
スポーツによる外傷
肩関節脱臼の最も多い原因は、スポーツ中の接触や転倒です。
- コンタクトスポーツ: ラグビー、アメリカンフットボール、柔道、レスリングなど、選手同士の激しい衝突や、倒される際に腕を不自然な形でついたり、ひねられたりすることで発生します。
- オーバーヘッドスポーツ: 野球の投球やヘッドスライディング、バレーボールのスパイク、テニスのサーブなど、腕を大きく振りかぶる動作の繰り返しや、ダイビングキャッチなどで肩に強い負荷がかかり、脱臼を引き起こすことがあります。
- 転倒を伴うスポーツ: スキー、スノーボード、スケートボードなどで転倒した際に、強く手をついたり肩を直接打ったりすることも原因となります。
特に、腕を横に上げた状態で後ろにひねるような姿勢(外転・外旋位)は、構造的に最も脱臼しやすい危険なポジションです。
日常生活での事故・外傷
スポーツをしていなくても、日常生活における不意の事故が脱臼の原因となることも少なくありません。
- 転倒: 歩行中や階段でのつまずき、雨の日のスリップなどで転倒し、とっさに手をついたり、肩を強打したりすることで発生します。特に骨がもろくなっているご高齢の方では、比較的軽い転倒でも脱臼や骨折につながることがあります。
- 交通事故: 自転車やバイクでの転倒、自動車事故の衝撃などで肩に強い外力が加わり、脱臼することがあります。
- その他の事故: 高い場所から物を取ろうとしてバランスを崩し落下するなど、不慮の事故も原因となり得ます。
特殊な原因
まれに、直接的な外傷以外が原因で脱臼することもあります。
- てんかん発作や電撃傷: 全身の筋肉が強くけいれんすることで、関節が無理な方向に引っ張られ、後方脱臼などを引き起こすことがあります。
- くしゃみや寝返り: これは、後述する「関節弛緩性」がある方に見られるケースで、非常に些細な動作が脱臼の引き金になることがあります。
脱臼しやすくなるリスク要因
同じような力が加わっても、脱臼しやすい人とそうでない人がいます。これには、いくつかのリスク要因が関わっています。
年齢:若年層ほど再発しやすい
10代や20代で初めての脱臼を経験した場合、その後の再脱臼率は非常に高いことが知られています。これは、若年層では関節を支える靭帯や関節包がまだ柔らかく、一度損傷するとゆるみが残りやすいためです。また、スポーツ活動が活発であることも再発のリスクを高めます。
競技レベルとスポーツ種目
前述の通り、特にラグビーや柔道などのコンタクトスポーツは、脱臼のリスクが極めて高い競技です。また、競技レベルが高く、練習や試合での活動が激しい選手ほど、再脱臼のリスクも高まる傾向にあります。
生まれつきの体質(関節弛緩性)
生まれつき全身の関節が柔らかい「関節弛緩性(かんせつしかんせい)」という体質の方もいます。このような方は、肩関節を支える靭帯や関節包もゆるんでいるため、通常では脱臼しないような軽い力や、腕を伸ばすといった日常的な動作でも亜脱臼や脱臼を起こしやすい傾向があります。中には、自分の意志で肩を外したり入れたりできる「随意性脱臼」の方もいます。