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肩関節治療

Shoulder Treatment

Shoulder pain40歳あたりから出て来る肩関節の痛み

肩関節の痛み

四十肩、五十肩と言う言葉を耳にする機会は比較的多いと思います。文字通り40歳くらいを境に出て来る肩の痛みのことです。
特に五十肩と言う言葉の歴史は意外に古く、1797年に発行された俚言集覧(りげんしゅうらん)の中に、「凡、人五十歳ばかりの時、手腕、関節痛むことあり、程過ぎれば薬せずして癒ゆるものなり、俗にこれを五十腕とも五十肩ともいう」という文章があり、これが本邦における五十肩に関しての最も古い記載とされています。 現代にも同じようなことを考えておられる方がおられますが、五十肩は特に治療をしなくても時が来れば症状は次第に落ち着くのでうまく付き合っていけば良い、治療は必要ない、といった内容で記述されています。

現代と比較して平均寿命が短い江戸時代はこれで良かったのかも知れませんが、世界の中でも有数の長寿国となった現代の我が国には当てはまりません。肩の痛みには原因となる病態があります。代表的なものをご紹介していきます。

中高年の肩の痛みについて説明する上でキーワードとなって来るのは腱板と呼ばれる組織です。腱板は4つの筋肉で構成されており肩甲骨と上腕の間に存在します(図1)。 腱板は肩関節を内旋(内側に捻る)、外旋(外側に捻る)、外転(脇を開く)をする際に使う筋肉ですが、その機能と同時にもう一つ大事な働きがあります。
肩関節は図2に示すように、小さな肩甲骨の小さな受け皿(臼蓋)の上に大きなボール状の上腕骨頭が乗った形で構成されています。その結果、人体の中でも最大の可動域を持ちますが、その反面、脱臼しやすく不安定です。肩関節は腱板が上腕骨頭を臼蓋側に引っ張るように働くことによって安定して動くことができます。以上のことから腱板は肩が機能する上で重要な役割を担う組織であると言うことがお分かりいただけたと思います。以下では腱板が原因となって引き起こされる病態として以下のものがあります。

  • 腱板断裂
  • 石灰沈着性腱板炎
  • インピンジメント症候群

また腱板と関係なく中高年の肩の痛みの原因となるものに凍結肩(癒着性肩関節包炎)があります。

腱板断裂

腱板断裂

腱板断裂とは前述の腱板が文字通り断裂してしまう病態です。特に腱の老化が始まる40歳以上から発生し、年齢が上がるとその患者数も増えていきます。

腱板断裂の原因は「外傷性性断裂」「変性断裂」の二つに分かれます。外傷性断裂とは、転倒や、重いものを持ち上げたときなど、大きな力が一度に加わることによって一気に腱板が断裂してしまうことを指します。次に、変性断裂とは多くの場合、肩の使いすぎによる腱板のすり減りや、年齢を重ねるにつれて起きる腱板の老化によって断裂が生じることをいいます。医療機関を受診しても五十肩として扱われている場合も多いようです、五十肩が3ヶ月以上すっきりしない場合は専門医を受診したほうが良いでしょう。

近年になり、スポーツも多様化し、それぞれの愛好家が増加しています。年齢を問わず様々なスポーツを楽しむ方が増えているのですが、そのスポーツ活動が腱板断裂の原因となることもあります。また日常生活でも、洗濯物を干す、布団の上げ下ろしなどといった家事も原因になる場合があります。

腱板断裂の主な症状

  • 肩を上げ下ろしするときに、痛みや引っ掛かりがある。音がすることもある。
  • 反対の腕で痛い方の腕を持ち上がれば上がるのに、自力で持ち上げようとすると、痛くてできない。または力が入らず、上がらない。
  • 炎症がひどくなると安静時や夜間に肩が痛む。さらに疼痛が強くなると熟睡できない。

これらの症状は、安静にしていると痛みが落ち着くことがあるので、治療せずに放置してしまう人が多くいます。放置しているうちに全く痛い時期と痛くない時期に繰り返す、痛みは軽くなったけどすっきりしない状態がずっと続く、などといった症状を出しながら悪化していきます。

腱板断裂の治療

腱板は一度断裂してしまうと、骨折とは異なり、自然に治ることはありません。欧米のデータでは65%が悪化していくと報告されています。また放置して病態が進行していくと変形性肩関節症を発症してしまいます。ここまで肩関節の状態が悪化してしまうと日常生活にかなり支障をきたします。そのような状況を防ぐために当院では早期発見、早期治療を行なっています。

保存治療

当院では腱板の状態を精査し、現状維持で肩関節機能にあまり影響を与えない程度の断裂範囲のものに関してはリハビリを中心とした保存治療を行います。治療の補助として内服薬や注射、エコー下筋膜リリースなども併用しています。また痛みのコントロールが困難な場合はペインクリニックなど他科の先生のご協力を仰ぐこともあります。

手術治療

断裂範囲が進行している場合は保存治療では肩関節機能を回復させることが困難である場合が多々あります。患者様の年齢や生活スタイルをお聞きして、よくお話しした上で手術治療をお勧めします。手術は体の負担が少ない関節鏡視下で行います。肩関節視下手術は、正常な組織への侵襲を最小限に抑えることができる上に、組織修復も強固にできます。従来の直視下手術に比べメリットは計り知れません。また元来、術後の痛みが強い疾患ですが、関節鏡視下手術は低侵襲である分、術後の疼痛が少なく、速やかにリハビリへ移行ができます。手術に関しては、手術設備、他科のバックアップ体制、術後リハビリの充実度合いを考慮し、それらが充実した関連施設で行なっています。

石灰沈着性腱板炎

リン酸カルシウム結晶という石灰に似た物質が腱板内に沈着し、その周囲で炎症を起こすことにより発症します。40~50歳代の女性に多くみられ、症状としては強烈な肩の疼痛、特に夜間痛を認め、痛みのために肩をうまく動かせなくなります。

レントゲン撮影で診断がつき、ほとんどの場合、保存療法で軽快します。夜間痛などの強い疼痛がある場合は水溶性副腎皮質ホルモンと局所麻酔剤の滑液包内注射などが有効です。強い疼痛が落ち着いたら、運動療法(拘縮予防や筋肉の強化)などのリハビリで、可動時の痛みを取り、さらに再発の予防を行なっていきます。

亜急性型、慢性型では、石灰沈着が石膏状に固くなり、時々強い痛みが再発することもあります。硬く膨らんだ石灰が肩の運動時に周囲と接触し、炎症が消失せず痛みが続くことがあります。痛みが強く、肩の運動に支障がありますと、手術で摘出することもあります。

インピンジメント症候群

まず、“インピンジメント”とは“衝突・挟まる”という意味です。インピンジメント症候群とは肩をあげたり動かすときに腱板や、腱板の表面にある滑液包などが肩峰(図3)と “衝突したり挟まる”ことで炎症を起こして、それ以上に動かすことができなくなる症状の総称です。
肩の組織に問題が起こって生じるというよりは、肩甲骨と胸郭の間で動きが悪くなって生じた機能障害が原因であることが非常に多いです。ほとんどが理学療法のみで治療可能です。痛みが強い場合には痛みを感じる動作を避け三角巾などで安静を保ち、消炎鎮痛剤などの薬物療法や局所注射療法が行われます。さらに痛みの軽減に伴い、理学療法で肩関節や肩甲帯(けんこうたい)だけでなく体幹・下肢の動きを整えることで機能改善を得られます。これらの治療を行っても症状や機能が改善されない場合には手術が行われる場合もあります。

凍結肩(癒着性肩関節包炎)

加齢による肩関節周囲組織の変化を基盤として、特別な誘因なく痛みや運動障害を認める疾患です。
凍結肩の病期は、急性期、慢性期、回復期に分けられています。急性期では、着替えをするときに痛い、髪を洗うときに痛い、といったように動作をするときの痛みの他、夜間に痛みで目を覚ましてしまう夜間痛、安静時痛があります。 慢性期では、痛みが軽減する一方で、可動域制限が進行します。つまり、“frozen shoulder”という名の通り、肩を動かせる範囲が限られてしまい、思うように動かせなくなっていきます。
凍結肩は自然に治ることもありますが、回復したあと数年後に、何らかの痛みや可動域制限が残ることが多いとされています。そのため自然治癒力に任せるだけでなく、痛みと可動域制限を改善するための積極的な治療およびリハビリテーションが勧められます。
具体的な治療としては、急性期の痛みに対して経口薬やテープを使用し、あまりに痛みが強い場合には肩峰下滑液包内や肩関節腔内への注射を行います。慢性期の可動域制限に対しては、温熱パックやストレッチングなどのリハビリテーションが行われますが、過剰な刺激は炎症を悪化させてしまい、拘縮を助長してしまう恐れがあるため、痛みを誘発させない範囲で行うことが重要とされています。

また、凍結肩と症状が似ていることから、腱板断裂が見逃されてしまう場合が多くあります。しかし、痛みの出現の仕方は疾患によって異なります。凍結肩では「これ以上は腕が上がらない」という動きの最終可動域で痛みが生じる一方で、腱板断裂では「腕を上げる途中が痛い」という動作の途中で痛みが生じることが特徴です。実は腱板断裂が原因であった痛みを、凍結肩と思い放置してしまうと断裂が進行して広がり、手術を行っても治りが悪くなってしまうため、早期発見が重要です。 凍結肩や腱板断裂があると、痛みで悩まされるほか、筋力が弱くなり日常生活動作に支障を感じるようになります。また、夜間痛があると寝不足にもなってしまいます。
何気ない肩の痛みや違和感があれば、症状を放置せずに病院で診察を受けることが、日々の生活を快適におくるための第一歩に繋がります。

Shoulder pain due to sportsスポーツに関連した肩の痛み

投球障害肩(上方関節唇損傷=SLAP損傷、腱板関節面断裂)

投球障害肩

投球障害肩とは、野球やバレーボール、テニスなどオーバーヘッド動作でボールを投げたり打ったりするときの痛みを訴えるスポーツ障害です。

治療は、理学療法が中心で、肩の問題と言うよりは、むしろ肩甲帯や胸郭、体幹、股関節などに問題がある場合が殆どで、肩に負担のかからないフォームが遂行できるような体作りからはじめます。従って、患者さんの頑張りにもよりますが、殆どの患者さん(これまでの報告によれば90%以上)は理学療法で治ります。
既に肩関節の中が壊れてしまっている場合(上方関節唇損傷=SLAP損傷、あるいは腱板関節面断裂)で、理学療法の効果が上がらないか一時的に上がっても維持できない場合に限り、関節鏡視下手術が必要になります。
術式は関節鏡視下で剥離した関節唇(SLAP病変)を切除するか修復するかのいずれかになります。また、腱板関節面断裂がある場合は、断裂部の掃除や切除が殆どですが、深く切れている場合は修復術を行います。

リトルリーグショルダー(上腕骨近位骨端線離開)

リトルリーグショルダーは投球動作を繰り返し行うことで成長段階の骨に引っ張り、ねじれなどのストレスが加わることで上腕骨近位骨端線が障害されます。子供の骨には骨端線とよばれる成長軟骨板があり、この部位が骨の伸びていく場所であり、繰り返される負荷によりここに離開が生じます。
少年野球では、投球フォームが未完成な場合が多く、特に不良なフォームで投げていると、この負荷が大きくなり骨端線損傷を引き起こす危険性が高くなります。発症年齢は骨端線が閉鎖する以前の10〜15歳に生じやすい障害です。レントゲンにより離開の程度が判断できます。放置すると上腕骨の外旋変形(上腕骨が骨端線の部位で外側に捻れるように変形すること)をきたし、成長後に肩関節組織の破綻を伴った肩関節障害を引き起こすリスクが上がると報告されています。

このことから早期発見と治療が必要です。治療は安静時痛が出るほど炎症が強い場合は投球を休止して場合により抗炎症剤の内服も併用します。強い炎症が落ち着くと理学療法を行います。この疾患も理学療法が中心で、肩の問題と言うよりは、むしろ肩甲帯や胸郭、体幹、股関節などに問題がある場合が殆どで、肩に負担のかからないフォームが遂行できるような体作りからはじめます。

Shoulder dislocation肩関節脱臼

肩関節脱臼

肩関節は人体の関節中で最も様々な方向に大きな可動域を持つ関節です。しかし、その反面脱臼しやすいという欠点があります。肩関節脱臼は人体の関節で最も起こりやすく、これまでの様々な報告から100人に1~2人くらいの割合で発生しています。

肩関節が2回以上脱臼繰り返した場合を反復性肩関節脱臼と呼びます。「脱臼癖がある」と言っている方がよくおられますが、まさにこの状態になっています。この症状はいわゆる癖ではなく立派な肩関節の障害です。

肩関節脱臼と反復性肩関節脱臼は、年齢が若く、ラグビー、アメフト、スノーボード、柔道などのコンタクトスポーツの選手に多く発生します。肩関節は脱臼を繰り返す度に、肩関節内の組織が少しずつ破壊され、さらに脱臼しやすくなります。最終的には寝返りやくしゃみなど些細な動作でも脱臼するようになり日常生活に大きな支障をきたします。

病態

肩関節は(図4)にある関節唇、関節包、関節上腕靭帯(上、中、下の3本)、臼蓋と呼ばれる肩甲骨の受け皿で安定しています。外傷を機に脱臼を繰り返している肩関節では、この関節唇と関節包の前方部分が臼蓋から剥がれてしまっています。これをバンカート病変(図5)と呼びます。この結果関節上腕靭帯が靭帯として正常に機能しなくなってしまいます。中には関節窩自体が最初の脱臼で骨折を起こしていてそのままになっているケースもあります。また脱臼を繰り返しているうちに何度も上腕骨頭と臼蓋が衝突をするため臼蓋の前方の骨が欠損してしまっている症例もあります。

治療

初回脱臼であれば当院では理学療法を行います。しかし、初回脱臼であってもご本人の希望や、再脱臼をすると職務に大きな支障が出る職業(自衛官、警察官、消防士等)に仕れている方は手術を選択する場合があります。

反復性肩関節脱臼の方は上記の理由で手術をお勧めしています。手術にて壊れた関節窩の骨や靭帯を元に戻す必要があり、完治を望むのであれば手術以外に方法はありません。リハビリで周囲の筋肉を強化するなどとよく言われますが、多少の安定感は得られても、外力が加わったときにも外れない肩には決してなりません。ただ、ある程度高齢になると外れにくくなりますが、その後に外れると腱板断裂など新たな損傷を生じたり、将来的には変形性関節症になったりすることがありますので、やはり活動性の高い時期に手術できちんと治しておいたほうが良いでしょう。

関節鏡視下バンカート法

従来あるいは現在でも多くの施設で直視下法(メスで大きく切開して行う手術)が行われていますが、当院ではではすべて関節鏡視下に手術を行っています。関節鏡視下手術は、直視下法と比較し、術中の視野に優れ、手術による体の負担と術後の痛みを軽減できるなど大きな利点があります。術後の可動域制限が少なくスポーツ復帰率も高いですが、術後再脱臼率が高い(20~50%以上)といわれてきました。
ところが、近年の病態診断学のレベルアップと関節鏡視下手術の技術レベルの向上は目覚しく、2000年以前とは隔世の感があります。実際、国内外で、術者・施設によっては、スポーツ復帰率が高いまま、再脱臼率で直視下法を凌ぐ成績を上げているところも出てきています。

関節鏡視下バンカート法(スーチャーアンカー法)と呼ばれる手術で、正常な構造物を損傷せずに、壊れた関節包(関節の一番内側の靭帯)や関節窩の骨を修復する方法です。すなわち、スーチャーアンカーと呼ばれる糸つきの小さなビスを関節窩に打ち込んで、その糸で靭帯や壊れた骨を関節窩に固定する方法です(このビスは1年程度で吸収され消えてしまうので抜く必要はありません)。
さらに、関節内の病態や患者の年齢・性別・スポーツ種目によって補強術式を追加します(直視下法は患者によらず"まず術式ありき"だが、鏡視下法は"患者個々に合わせて微妙に術式を変える手術"であるところが両者の大きな相違点でもあります)。創は5mm程度のものが3箇所できるだけです。入院期間は2~3日で手術翌日には退院となり、数日後にはデスクワークなら就労・就学可能です。
ただし、術後は着脱可能で衣服の上からつける装具で3週ほど患肢を固定します。個人差がありますが、術後1~2ヶ月で日常生活には不自由がなくなり、3ヶ月で軽いスポーツ、6ヶ月で大抵のスポーツ復帰が可能となります。ただし、ハイレベルでのスポーツ活動で不自由を感じなくなるまでには、最低でも術後1年ぐらいを要します。

関節鏡視下バンカート&ブリストウ法

当院では一度肩関節脱臼で手術を行ったが再脱臼をしてしまった患者さん、肩甲骨の受け皿である臼蓋の前方に著しい欠損を認める患者さんについては関節鏡視下バンカート&ブリストウ法を行っています。術後の再脱臼をほぼ認めない術式ですが、解剖学的には正常とは異なることと、術式にかなり習熟が必要で合併症のリスクが関節鏡視下バンカート法に比べると高いことからかなり症例は限定して行っていますが、当院では合併症は出ておらず、また術後には全員が仕事やスポーツ現場に復帰されています。

術式は肩甲骨の烏口突起と呼ばれる部分の先端を、上腕二頭筋腱をつけたまま先端を切り落とします。そして、切り取った骨を前側にある筋肉(肩甲下筋)の間から関節の受け皿の前方に持ってきます。関節の受け皿の前方部分に持ってきた骨を、ボルトで留めていきます。あとは前述のバンカート法と同様の手順で関節唇を縫合します。このように、ブリストウ法は肩の関節外で前方の筋肉を補強することと、骨を移動することで関節が前側に外れてしまうことを防ぐことができます。また、最後にバンカート法で関節唇を縫います。つまり、このような2つの手術法を同時に施行することにより通常よりも強力な肩の強度を作ることができるのです。この手術を、患者さんの負担が少ない内視鏡を用いておこなうのが「関節鏡視下バンカート&ブリストウ法」です。

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